例年であれば盆明けから涼しくなる所、今年は未だに暑い。
寒い方が動ける冬型の僕は、夏はバテ気味でブログの更新もご覧の通り。1台1台小さな工夫を入れて少しでも良い音になるようオマジナイを使うと1日が終わります。
この作業ブログは、同じ車種に乗っている方が参考になるようにと書いていますので、更新の間が空いてでもしっかり書き上げたいと思っています。
更新率高めのインスタも、よろしくお願いします。
しらちゃんのオススメ楽曲
・Tom Misch – Geography 44.1kHz/24bit 2018/04 リリース
ジャズやファンクを融合したネオソウル系ミュージシャンTom Misch。柔らかなボーカルとキレのあるグルーヴが同居する心地よい一枚。ベースは滑らかに、ピアノは美しく響き、すべての楽器が絶妙な間合いで音を奏でる。ジャズセッション定番曲のTr7のStevie Wonder「Isn’t She Lovely」のカバーでは、音楽と生活が地続きであることを感じさせる暖かさがあり、アルバム全体を通して自然と体がリズムに乗ってしまう魅力に溢れている。
インストール車両
本日はレクサス RX500。
NXと並ぶ人気のお車で、当店入庫率も実は高め。
理由はシンプルで、純正のDAの”良い音っぽくするエフェクト”が裏目に出たサウンドチューニングのおかげで音が悪い。
オーディオ屋だから音が悪い。と言っているだけでなく、車のオーナー様から”どうにかしてくれ!”とご依頼が来るわけですから、やっぱり音に不満を持つ方が多いという事ですね。
トヨタレクサス系で良い音(まともな音)にする為は、HPのコンテンツにも上げていますが、純正オーディオを捨てる選択肢が最も手早く済みます。
結局、純正オーディオから信号を頂いてDSPで修正しても、エフェクトを打ち消す処理を挟む形となるので音質的に限界値が下がりますから、普通の音がするソースユニット(再生機)を準備してあげた方が、圧倒的に良い音になるわけです。
別途用意する再生機ですが、DAPやスマホ、据え置き型ハイレゾメディアプレイヤーなどをデジタル外部入力として用いる手や、純正の大画面ナビを活用できるアンドロイドAIBOX ”OTTOCAST”等を用いることで、快適なカーオーディオ環境を構築できます。
理想の環境になるように、各メーカーからアフターパーツとしてリリースされている製品を組み合わせて良い音に仕上げていきます。
システム
[ナビゲーション] トヨタ 純正ナビ
[オーディオ再生機] GOLDHORN G1

[DSP] HELIX DSP PRO MK3
[Fスピーカー] Carrozzeria TS-Z1GR

[パワーアンプ] BRAX GX2400
[サブウーファー]Carrozzeria TS-W1000RS
[SWパワーアンプ] Carrozzeria PRS-D800

[スピーカーケーブル] audio-technica AT-RX12

[RCAケーブル] audio-technica AT-RX280

[USBケーブル] audio-technica AT-RX97

[コアキシャルケーブル] SAEC STRATOSPHERE DIG-1

インストールと解説
こちらのお車のシステムは、
DSPのアナログ入力:純正ナビ
DSPのデジタル入力:GOLDHORNハイレゾメディアプレイヤー + USBダイレクト入力
の3系統のシステムになっています。
普段は使い勝手の良いメディアプレイヤーをメインとし、同乗者の方がテレビを見る際や、スマホでサブスク等を利用して最新楽曲を垂れ流す際はUSBダイレクト入力を用いるという、様々な使い方に適応したシステムになっています。
入力切替や、デジタル機器のボリューム調整、音響調整のプリセット変更などはDirectorにて行います。取り外した際に加工痕が目立たない工法でガッチリ固定して、操作のしやすいこの位置に装着しています。
Z1GRのハイレンジはAピラーワンオフ。
弟分となったZ900PRSからCSTドライバーという構造はそのままに、極めて艶やかでレスポンスの良い蒸着ベリリウム振動板ツイーターと、レスポンスが良く色付けの少ない開繊カーボンミッドレンジを採用した点音源型のスピーカーです。
スピーカーは、真正面から聴く場合と、斜めから聴く場合では、音が”異なって”聴こえる性質がありますから、左右差を極力ゼロとする位置/角度にAピラーワンオフにて埋め込んでいます。
またカーオーディオでは、窓ガラスという音を超絶反射する物体がそばにあるので、特に低い帯域から再生する3way構成の場合は反射音も考慮した取り付けが必須となり、最適な角度に取り付けを行うことが出来れば、音場感の優れたステレオサウンドとなります。

スピーカーは正面だけでなく横方向にも音を放射します。スピーカーの向きが窓ガラスに平行に近づくほど、反射音は強くなります。直接耳に届く「直接音」に対し、反射音はガラスに当たってから届くため、時間差が生じます。その結果、反射音が大きいと、直接音が作る音像と反射音が作る音像が二重に現れ、ボーカルが二重に聴こえたり、音像のフォーカスが甘くなってボケた印象になる原因となります。
ドアはワンオフ製作のスーパーインナーバッフルと、ドア防振プランPAC2。
純正バッフルが大型楕円形のバッフルですので、剛性の高いインナーバッフルを取り付けることが出来ますね。
当店で使用しているインナーバッフルに使用する木材は、高密度耐水MDFです。
木材にこだわる大きな理由のひとつが「内部損失」です。内部損失とは、素材が振動したときにテメェが音を出す度合いを示す性質の事で、内部損失が大きいほど固有音を出しにくく、スピーカーの音に余計な響きを加えません。当店が採用している高密度耐水MDFは、この内部損失が大きいため固有音がほとんど発生せず、音質的に優れています。
例えば金属系を使用した場合、トライアングルの様に持って指で弾いた時にチ~ン♪と音を出すかと思いますが、これをそのままバッフルに使用すれば、当然そのチーン音がスピーカーから出る音に乗りますので、宜しくないわけです。異種金属の組み合わせや制振処理などを行えば剛性を高めてスピーカーを強固に固定できる利点はあります。
ただし加工性の問題もある事から、1台1台厚みや形を変えて最適な形状のバッフル製作する工程は、音質に直結する非常に重要な作業ですから、それらを踏まえた上で当店では耐水高密度MDFをメインで使用しています。
ドア防振はPAC2、当店の考えるドアの音響加工のフラッグシッププランです。
使用する材料を選別することでコストを抑えながら、共振する部分に細かく手を入れて、スピーカーが前後にストロークした際に発生する振動で響く音を止めます。
特にZ1GRは、深く大きくストローク出来る構造なのでドア防振は最終的な出音に直結するので、ドアの音響加工にはしっかり手を入れておきたい所ですね。
インナーバッフルでの取付では、内張りを戻すと見た目は純正のままに仕上げることが出来ます。
アンプ類はラゲッジにヒドゥンインストール。
ラゲッジ床下の空間をフルに活用して、大小様々なオーディオ機器を固定する床下を作りこんでいます。
補機バッテリーがラゲッジに居る車の場合、バッテリー交換作業が必ず訪れますから、ここのメンテナンス性は確保しています。蓋を開ければこんにちは。です。
サブウーファーは、エンクロージャーによって出音が変わる代物で場所を取りますから、床下が深い部分に設置する事が多くなります。
車両にガッチリと固定していますので、エネルギーのある前後運動をしっかりと抑え込む事ができ、解像感の高い低音の再生を可能としています。当然ながらフロア鉄板は”ちかっぱ”共振しますので、低い周波数から止まる防振材を貼り共振音対策を行っています。
DSPとメディアプレイヤーは、超高品質なコアキシャルケーブルDIG-1で接続しますのでお互いの接地距離を縮めてマウントしています。
天板で見えなくなりますが、なるべくスマートに、ノイズの混入を抑えてワイヤリングしていますので、高品質なケーブル達による音質向上がしっかりと反映されます。

カーオーディオでよく用いられるデジタルケーブルには、コアキシャル(同軸)、オプティカル(光)、USBの3種類があります。このうちコアキシャルやUSBはノイズの影響を受けやすく音質が変わります。対策としてこれらのケーブルには、外部ノイズを遮断するために外側に導電性の被覆を持たせるシールド構造になっていますが、カーオーディオのように機器を離れた位置に設置する場合、機器間の電位差によってノイズ電流が流れ、ジッターが増えることも考慮しなければなりません。今回の様に短く接続する事がベストではありますが、システムやレイアウトによって適切に使い分けることで、より高音質な再生を実現できます。
フロント用のパワーアンプGX2400は、3wayで4ch+4ch。結線で言うと、ツイーター、ミッドレンジ用の4ch、ミッドバス用の4chBTL接続です。
BTL接続のメリットは、飛躍的に駆動力が向上する事です。
カーオーディオでのミッドバスは、音の芯となる帯域を受け持っているので、この部分をしっかりと鳴らす事で躍動感やエネルギーを強く出すことが出来ます。
分かりやすいところで、バスドラやウッドベースの胴鳴りや生々しさ、ボーカルが腹から出した時の腹鳴り感、ホール全体の反響音などがしっかりと伝わってくるので、よりリアルな音にもなってきます。
話を戻してラゲッジへ。全て蓋をするとこのような形。
フルフラットなので、ゴルフバック等の大きな荷物もすんなり載せることが出来ます。
最後に音響調整を施して納車となります。
あとがき
みなさんはRCAを変えた時や、デジタルケーブルを変えた時、どのように変化を感じていますか?
漠然と、厚みが出た!ボーカルがクッキリになった!
だけではなく、なぜ厚みが出たのか、なぜボーカルがクッキリになったのか。
〇Nとか純銀とかの線材による違いだけでなく、どの周波数が増えた減った、位相的にどう動いたか等を追求することで、よりオーディオの面白味が変わってきます。
例えば、全域に変化が起きるデジタルケーブルの例でいけば、ひとつは縦位相の変化を見ます。縦位相の繋がりが良くなれば、音場は横に広がり、ボーカルは極めてシャープな音像として浮かび上がります。
逆にそこが悪いと、ベース音は足元から、金属楽器はルームミラーからと纏まり感のない縦長音像となり、左右の音場が不鮮明でリアルさに欠けるサウンドになります。

カーオーディオやホームオーディオを楽しんでいると、「もう少し低音を締めたい」「音の輪郭をはっきりさせたい」など、あと一歩のところで悩むことがありますが、そんな時こそケーブルでのチューニングです。
RCAケーブルは、線材や構造によって音の表現が変わります。情報量や解像度の違いによって、前後の奥行き感や音の厚みなどに違いが出ます。
電源ケーブルもまた重要で、撚り方や導体の工夫によって電気の流れが安定し、音像のフォーカスが向上します。楽器やボーカルの位置がくっきりと見えるようになり、立体感のあるサウンドが楽しめるようになります。
ケーブルは機材同士を接続する重要なアイテムで、音質の底上げはもちろん、音色を自分好みに寄せることもできますので、予算が回せるようであればケーブルに拘ってみるとオーディオの楽しみ方がさらに広がるかもしれませんね。
アゴヒゲ白石