皆さんこんにちは、エモ親方です。
突然ですが、エモ親方と名乗るのを止めようと思います。
先日、とあるサイトに書かれていたのを発見したのですが、エモーションは「代表自ら親方と名乗っているので頑固なのは間違いないのでしょう」という記載です。
それに呼応した人が「うわ、それは知りませんでした!!親方ですか!」とおっしゃっていました。
私がエモ親方を名乗るようになったのは、25年ほど前、エモーションがまだ若かった頃、常連のお客さんたちがふざけて私を呼ぶときに「親方ー!」と叫ぶように呼んでいたことがきっかけです。
ですから頑固職人を誇るために親方と名乗っていたわけではないのです。
自分で言うのも変ですが、私は年の割には頑固ではないと思いますし、少ないご予算のお客様にも真摯に対応しているつもりです。何よりも、自分の好みやスタイルなどを押し付けはせず、お客様のご要望を最優先します。お客様のご希望とは異なる提案を行う事はありますが、それは音をより良くするための情報提供であって、お客様が様々な情報を得られたうえで、お客様ご自身が、最終的にご決断された内容を尊重しております。
何れにしましても、本来私がこうありたいと思う姿とは異なるニックネームにより誤解を受けるようなことがあれば、それは本意ではありません。
そこで、今後はただ単に橋本とだけ名乗らせていただきます。
さてさて、改めまして、皆さんこんにちは、エモーション代表の橋本です。
本日は、カロッツェリアの大人気スピーカー、TS-Z900PRSについて、もっと良い方法で鳴らすにはどうしたらよいかについてお話していきたいと思います。
カロッツェリア・TS-Z900PRSとは、
73㎜ミッドレンジと26㎜ツイーターを同軸構造としたものをハイレンジユニットと呼び、17㎝ミッドバスを組み合わせた3ウエイ構成のスピーカーシステムです。
同軸スピーカーとミッドバスを組み合わせた3ウエイスピーカーというのは珍しい公正なのではないかと思いますね。
ではTS-Z900PRSの良さってどこにあるのでしょうか。
それはスピーカー以外が2ウエイシステムであっても、3ウエイスピーカーが楽しめるということに尽きると思いますね。
またそれはなぜ出来るのか、それは同軸構造のハイレンジユニットが初めからタイムアライメントが整っている状態で作られており、この部分をマルチシステムにしてタイムアライメントで調整する必要がないため、パッシブでも問題ないからです。
ナビ、若しくはDSPから、2ウエイ(4チャンネル)しか出力していない状況下で、パッシブネットワークを介して同軸2ウエイであるTS-Z900PRSのハイレンジユニットを駆動します。実質的には、ミッドバスとハイレンジユニットによる2ウエイマルチシステムですが、実際にはマルチとパッシブを併用した、ツイーター、ミッドレンジ、ミッドバスの3ウエイシステムになっています。ポイントはハイレンジユニットの同軸スピーカーとしての構造にあります。
パイオアのHPより拝借した画像ですが、シルバー振動版のツイーターが、周囲のミッドレンジ部分の中心にありますが、高さがミッドレンジの奥に引っ込んでいます。
これは、ミッドレンジとツイーターの音を発生する位置を同じ位置にレイアウトする方法で、一般的にはポイントソース型同軸などと呼ばれますが、パイオニアではCSTドライバーと呼んでいます。
ミッドレンジとツイーターの、音を発する位置、即ちボイスコイルの位置を同じにすることにより、リスナーに音波が届くタイミングをツイーターとミッドレンジで同じにできます。つまりこれは・・・・
最初からタイムアライメントが調整された状態
ということが出来るわけです。従って、理論的にはツイーターとミッドレンジの間にタイムアライメント調整が必要ありません。
タイムアライメント調整が必要ではないということは、無理にマルチアンプ化する必要もないという事であり、このようにパッシブネットワークを用いた、2ウエイシステムでの3ウエイスピーカーを構築することが可能となります。
参考までに、通常の同軸スピーカーはツイーターがミッドレンジから飛び出した構造となっており、リスナーへの音波到達時間が一致しません。
一般的な同軸スピーカー、ツイーターが飛び出した構造のため、音の到達時間がミッドバスと一致しない。
小口径でありながら、ポイントソース型同軸構造を実現できたところが凄い
TS-Z900PRSの、ハイレンジユニットに於けるもう一つの凄い点は、73㎜という小口径ミッドレンジでありながら、ポイントソース型同軸構造を実現できた点でしょう。
同軸スピーカーをポイントソース型にすると、ミッドバスの振動版(コーン)から、ツイーターの外径分の大きさをカットしなければならなくなります。一般的な同軸スピーカーですと、ツイーター外寸よりも小さな棒で突き出せばよいのでミッドバスをカットする面積はそれほど大きくありません。
例に挙げた、SEASというブランドのEXELシリーズのポイントソース型同軸スピーカーは、16.5㎝口径、日本式には17㎝口径です。このくらいの口径であればミッドバスのコーンを大きくカットすると言っても、影響は最小限ないのですが、ミッドバス部の口径が小さくなり、ミッドレンジとなった場合、ツイーターの外寸は変わりませんので、相対的にコーン部をカットする面積の割合が増えていきます。
そうなると、ミッドバス、或いはミッドレンジの有効振動版面積が小さくなり、音が小さくなってしまいます。
ですので、小口径でこのポイントソース型同軸構造を実現するのは、非常に大変なことなんです。
恐らくは、ミッドレンジ部のBLを高くして、ツイーターの外寸をできるだけ小さく設計することでこの問題を解決したのだと思われますが、これは極めて高い技術です。他に例が見当たりません。
TS-Z900PRSにもあった問題点
ところが、このTS-Z900PRSに付属しているパッシブネットワークには問題がありました。
このハイレンジ用パッシブネットワークのスロープには-18dBタイプが用いられています。
クロスオーバースロープは、それを通ることでスピーカーユニット間の位相がずれます。それは以下の通りです。
・-6dBタイプ 位相ずれ90°
・-12dBタイプ 位相ずれ180°(ツイーターを逆相接続することで位相ずれは0となる)
・-18dBタイプ 位相ずれ270°(逆方向に90°ずれたのと同じ)
・-24dBタイプ 位相ずれ360°(つまり一周回って0°)
では位相がずれるとどうなるのでしょうか。以下の図をご覧ください。
100Hzと500Hzが合成された波形です。
正常に合成された波形と比べ、100Hzに対し500Hzの位相が90°ずれるだけで、波形が全く違うものになってしまっています。
波形が正確であるほど、音はリアルになります。ではこのように波形が変わってしまった状態で正確な音を再生することはできるでしょうか。難しいのではないでしょうかね。
例えば先ほどお見せした画像、一般的な同軸スピーカーのように、ミッドレンジとツイーターが時間軸(タイムアライメント)で一致していない場合、案外-18dBの方がよく聴こえたりもします。
このように時間軸がずれたレイアウトだと、90°ずれの方が心地よく聞こえることもあります。
しかし時間軸が完全に一致している場合、つまりタイムアライメントを完璧に調整できている場合においては、
-12dBタイプのツイーター逆相か、-24dBタイプのスロープが最も音が良くなる。
ということになります。つまりそれらは位相ずれが0であるため、波形が重なった際、正確な合成波形となるからです。
そこで、ハイレンジユニット用のパッシブネットワークを、-12dBタイプに交換する方法をご提案します。
エモーション・パッシブネットワーク・Type3 バイアンプ対応-12dBタイプ
エモーションが長年作り続け、改良を重ね続けたパッシブネットワークー12dBタイプです。
ご覧の通り、基盤を用いず、ダイレクト配線ですので劣化がほぼありません。
一つ一つが独立した構成ですので、バイアンプ(バイワイヤリング)接続が容易です。
これをTS-Z900PRSに用います。
これによって得られる効果
・音のリアルさが大きく増す。
・情報量が上る
・定位感が良くなる
・クリアネスが上る
このような効果がありますね。
このエモーション設計-12dBタイプパッシブネットワークは、TS-Z900PRSを取り付けする際に、一緒にご注文することもできますし、後から装着することも可能です。
TS-Z900PRSをしばらく聴き込んでからのシステムアップの楽しみにもなりますね。
TS-Z900PRSを所有されていて、スピーカーに付属のパッシブをお使いの方、
エモーションのパッシブシステムにご興味がおありならご遠慮なくお問い合わせください。
エモーションの設計のパッシブネットワーク、TS-Z900PRS用について問い合わせる。
マルチアンプシステムにおける、TS-Z900PRSのクロスポイント設定を考察する。
2ウエイシステムでTS-Z900PRSを3ウエイスピーカーとして用いる場合、ミッドバスとハイレンジ間はマルチシステムになります。従ってナビのDSP、若しくは外部装着のDSPを用いて、クロスポイントを設定するのですが、TS-Z900PRSの場合、クロスポイントをどこに設定したらベストか、それを考察していきます。
私はあまり低い周波数ではない方が良いと考えています。
スロープは位相ずれが0である-24dBタイプを用います。その理由はもうお分かりですね。タイムアライメントを用いて、時間軸をピタッと合わせた場合、位相ずれのないスロープを選んだ方が確実に良くなるからです。
-12dBでのハイレンジ側逆相も位相ずれは0ですが、この場所はパッシブネットワーク接続ではなく、マルチアンプです。従って-24dBを用いた方が良いでしょう。
では、位相ずれのないスロープを選んだ場合に発生する問題点は何か、それはクロスポイント付近に発生するピークです。これが迷いの原因です。位相ずれがゼロになるスロープの場合、クロスポイントにピークをもたらし、これが稀に不快な音となる場合があるため、-6dBや-18dBなど、位相が90°ずれるスロープを選んでしまいます。
詳しい説明は省きますが、位相が90°ずれるスロープを用いると、クロスポイントはフラットになり、位相ずれが0となるスロープを用いると、クロスポイントに+3dBのピークを発生します。
このピークが聴感上不快に感じられる場合、90°ずれのフラットにできるスロープ、即ち-6dBや-18dBの方が聴きやすいという評価につながります。しかしピークさえなければ、位相ずれが0の方が音の良さや情報量は圧倒的です。
そこで、位相ずれのない-12dBのツイーター逆相や、-24dBを用いておいて、クロスポイントを離します。
クロスポイントを離すことで、クロスポイントにおけるピークがなくなり、聴感上の不快感がなくなります。
上図では、ミッドバスのLPが680Hzから1kHz、ハイレンジのHPが800Hzから1.25kHzと記しています。
使用するDSPが外部装着のものである場合、もっと細かい周波数の設定が可能ですが、サイバーナビのクロスポイントのように1/3オクターブと荒いクロス周波数設定の場合もあります。
今回はサイバーナビの設定可能クロスポイントに準じて、ミッドバスのLP周波数とハイレンジのHP周波数がどの組み合わせが良いかを紹介しておきます。外部装着のDSPの場合は、これを参考にここから細かく調整していけばよいでしょう。
・ミッドバスのLPが680Hzの場合、ハイレンジのHPは800Hz
・ミッドバスのLPが800Hzの場合、ハイレンジのHPは1kHz
・ミッドバスのLPが1kHzの場合、ハイレンジのHPは1.25kHz
TS-Z900PRSの場合は、このくらいの開きで十分ピーク感はなくなります。
上記3種類のクロスポイントは、聴感上どれが最も良いかよりも、どれが最も良い定位感を出せるかで選んだ方が正解でしょう。
参考までに、スピーカーがTS-Z900PRSではなく、他の3ウエイスピーカーだった場合、クロスポイントをもっと大きく開いた方が良い場合もあります。
また更に参考までに、通常の2ウエイシステムでも、クロスポイントは開いた方が良いです。無論スロープは位相ずれ0のものを用いた場合です。例えばミッドバスのLPが2.5kHzでツイーターのHPが3.15kHzといった具合にです。
え~、まだまだたくさんですね、ノウハウはあるんですけど、今回はこれくらいにしておきましょう。
最後に、ハイレンジユニットのAピラーワンオフマウントは、目立つようで以外に目立ちません。視界の邪魔にもなりにくいです。その証明写真をいくつかアップしておきます。
エモーションへのお見積もり依頼は下記からどうぞ。
それではまた。エモーション代表橋本でした。