トヨタディスプレイオーディオの致命的な音質的問題点、ナビ交換他で解消しよう!

カーオーディオ

皆さんこんにちは、エモ親方です。

本日は、トヨタディスプレイオーディオの音質的問題についてと、その解決策についてお話しします。

トヨタはディスプレイオーディオにとどまらず、純正標準装備のナビ・オーディオのほぼ全般に渡ってですが、

 

一部の周波数を片方のスピーカーだけ逆相にしています。

 

「え、知ってたよ」と言う方もおられるかもしれませんが、「驚いたと!」いう方も少なくない事でしょう。

これはオーディオ的にはあってはならないことです。

エモーションでは、数年前に気付いていましたが、解決策が提示できないまま語るのも変だと思い、
公表はしていませんでした。

では何故、このようなことをしているのかと言う説明を簡潔に述べます。

 

カーオーディオは、左右スピーカーの中心位置で音楽を聴くことが出来ません。
その為、スピーカーからリスナーまでの距離に左右スピーカー間で差が出ます。
これにより、一部の周波数が逆相でリスナー届きます。
つまり、音の波が逆になって、波の山と谷がリスナーに届くため打消し合いが起こり、
ステレオ効果による音像定位が発揮できなくなります。

 

 

 

 

ステレオ効果の根本である音像定位が出ないというのは、ステレオの意味をなさない事に繋がります。
カーオーディオに於いては古くから言われてきた問題でした。

しかしこれは、DSPの登場によって、DSP機能の一部であるタイムアライメントを用い、
距離差による音波到達時間の差を無くすことにより、完全に解決します。

距離差によって、音波の到達時間がずれることによって生じる問題ですから、
音波到達時間を一致させるというのは、誠に正攻法な解決策なのであります。

これによりカーオーディオでもホームオーディオのようなリアルな音像定位、
即ちステレオ効果を楽しむことが出来るようになりました。

しかしDSP登場以前はどうやっていたのでしょうか。

左右スピーカーの距離差による音波到達時間の差によって、位相が狂うのは主に中低音域に集中しています。

そこで90年代の半ばごろ、米国を中心に流行った手法がありました。

それは、片方のスピーカー(主に助手席側)だけプラスとマイナスを逆につなぐと言う手法でした。
これにより、問題が多く発生する中低音域の周波数で、逆相化が減り、
なんとなく曖昧ですが、音像定位のようなものが眼前に現れる事になります。
しかしこれには問題もありました。

・低音は多少の距離差では逆相化しないため、
片方のスピーカーだけプラスとマイナスを逆にすることで低音が著しく劣化する。

・ミッドバスだけを片方逆相化するため、ミッドレンジやツイーターなどと繋がりが悪くなり、
音色そのもののリアルさが損なわれる。

・中低音域のみは左右で正相化するが、それ以外の帯域は左右逆相化するので音質は劣化する。

・音像定位は何となく感じられるようになるが、本来の定位ではないため、輪郭がはっきりせずリアルさに乏しく、
奥行き感や広がり感などのプレゼンスも欠如している。

これらの問題のため、DSPの普及後は、片チャンネル逆相と言う手法は急速に廃っていきました。

 

トヨタのディスプレイオーディオ、並びに純正標準装備のナビ・オーディオは、
この手法を改良したものだと考えられます。

つまり、片方のスピーカーを逆接続するのではなく、
問題となっている周波数だけ、デジタル技術を用いて片方のスピーカーだけプラスとマイナスを逆(逆相化)にし、
距離差による逆相化を防ぐと言う物です。

 

車の場合、左右のドアスピーカーからリスナーまでの距離差は30㎝~50㎝くらいですが、
50㎝の距離差があるのは相当大きな車ですので、多くの車では40㎝以内の距離差の中に含まれます。
その距離差で、ほぼ逆相化する周波数、要するに位相角で120°から240°までのずれが生じる周波数は、
160Hzから1kHzに集中します。
ここをデジタルで片方のチャンネル(恐らく運転席側)だけ、
プラスとマイナスが逆になるようなエフェクトをかけているわけです。
どの範囲内を片チャンネル逆相にしているかは正確には不明です。
上記の図では、一部の車種で私が検証したものです。
車種によって片チャンネル逆相化の範囲が異なっているものもあるかもしれません。
まだまだ検証が必要です。

しかしこれには新たな問題が発生します。

それは、ドアに装着されたミッドバスの一部帯域のみを逆相化する事により、
一個のスピーカーの中での位相ずれが起こります。
これはハーモニクスの繋がりを崩壊させ、元々音の悪い純正スピーカーを更に悪くしてしまいます。
要するにこれは‥‥

高音質を望むなら絶対にやっちゃいけない手法なのです!

 

トヨタのディスプレイオーディオをご経験された方ならお判りでしょうが、
なんとなく前方に、曖昧な音像が広がっているように感じられるはずです。
ダッシュボードの中央にスピーカーが付いているんじゃないかと錯覚した方もおられるかもしれません。
しかしその音質はボケボケで、ピアニシモやフォルテシモの表現もあいまいになっており、
とても音楽を楽しめるものではないでしょう。

しかもこの手法は、高価な純正プレミアムサウンドシステムを選んでもOFFになりません。

そう、このエフェクトをOFFに出来ないことが極めて重大な問題なんです。

純正標準装備のナビ・オーディオは取り外すことが出来ません。
その為、外付けタイプのDSPを装着する事が今の市販カーオーディオのトレンドです。
DSPを装着する事で、調整の腕にもよりますが、かなりの音質向上をさせることが可能です。
音像は輪郭がくっきりとしたものが現れ、
あたかも目の前で本物のアーティストが演奏しているかのように聴こえだします。

しかしこのエフェクトがOFFに出来ないことで、

DSPを装着しても、腕の良い人が調整しても、
その音質向上は限界的である。

と言う事になります。

このエフェクトが、せめてOFFできるようにさえなっていれば、
腕の良い専門店ならDSPを用いてユーザー様が感動していただけるような音質向上を実現できるはずなのに…・

トヨタのディスプレイオーディオと純正標準装備ナビ・オーディオが、
なぜこのようなエフェクトを採用したのかは不明です。
色々と考えられますが、憶測の域を出ないため、語ることはしません。

しかし、一部の周波数だけ、片チャンネル逆相にすることで、
中途半端で曖昧な定位感を出せる引き替えに音楽の感動まで失ってしまっていることは事実です。

しかもこのエフェクトをOFFに出来ないために、
DSPなどを装着する音質改善のチャンスまで、ユーザーから奪ってしまっています。

トヨタディスプレイオーディオの音質的な問題点を提示するだけで多くのページを使ってしまいました。

すみません、解決策は次回に回すことにします。

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